【コーヒー学のすすめ - 豆の栽培からカップ一杯まで-】
ニーナ・ラティンジャー/グレゴリーディカム著 辻村 英之監訳(出版:世界思想社)
コーヒーの歴史、生産・流通・消費のプロセスからスペシャルティ・コーヒー、サステナブル・コーヒー、フェア・トレードにいたるまで、コーヒーをめぐる世界の力学を解き明かす。豆からカップまでを網羅するコーヒー学の決定版。
−目次−
序章
第1章 コーヒーの歴史
第2章 コーヒーのはるかな旅
第3章 コーヒー貿易の成長
第4章 健康・マーケティングと巨大焙煎業者
第5章 スペシャルティ・コーヒー・ブーム
第6章 サステナブル・コーヒーの流行
監訳者解説
私(HIROSHI)が2001年に帰国した際に持ち帰った本(1999年に出版された「THE COFFEE BOOK -ANATOMY OF THE INDUSTRY FROM CROP TO THE LAST DROP-」)の2005年改訂版の翻訳本です。アメリカのトランスフェアでフェアトレード活動を共にしたニーナが共著した本で、フェアトレーディング、フェアトレードカンパニー、京大大学院農学研究科チームの共同翻訳になります。
帰国後、この本の日本語版をなんとか出したいと思っていたところ、フェアトレードカンパニーの友人を介して今回監訳をされている辻村さんと東京の池袋のカフェでお会いする流れになりました(辻村さんはイギリスで偶然この本を見つけて購入していたそうです)。その時に3人でこの本の翻訳の可能性について話し合い、コーヒーブックの翻訳プロジェクトが動き出しました。
著者がもともと環境系(環境学修士)でNGO活動にも理解が深いことから、コーヒーの背景やコーヒービジネスを一貫して環境問題や途上国問題(貧困問題やNGO活動、フェアトレードなど)、CSR(企業の社会的責任)の立場からとらえているところが一般のコーヒー本と大きく違うところ、そしてこの本のおもしろいところだと思います。
アメリカのコーヒー業界の流れからとらえているということで、一冊すべてを理解しようとすると少々難しい箇所もあるかもしれませんが、興味のある場所を中心にじっくり読んでいただければ幸いです(私が原書を読み始めた時は後ろから前に進んでいくような感じで読み進めていました(笑))。
アメリカコーヒー業界が中心ということで、日本ではなじみのないコーヒー会社やトピックが出てくる場面も多い点は予めご了承ください。もちろん馴染みのあるスター○ックスや多国籍コーヒー企業などもでてきます。
コーヒービジネスを中心に環境問題、途上国問題、フェアトレード等をからめてコーヒーをとらえてみたい方は特に興味を持っていただける本だと思います。
向って右からHIROSHI、本の共著者のニーナ、日本に滞在したこともあるヒラリー。中米から帰米後のトランスフェアオフィスにて(2001年5月)。
著者のニーナは知的で明るいとても素敵な女性です。私がトランスフェアチームに混ぜてもらってから数ヵ月後に、トランスフェアのCEOに乞われて広報マネージャーとしてトランスフェアチームに参加しました。一年近く同じオフィスにいたわけですが、常に私のことを気にかけてくれて、慣れない環境の中とても助かったことを覚えています。
写真のヒラリー(当時のファンドレイジングマネージャー)は日本に滞在していたことがあり、またオフィスマネージャーだったジョンは山口県に2年間住んでいたこともあり、オフィスではたまにカタコトの日本語が飛び交ったりしていた気がします。